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折田 大藏さん

大御所とカリスマ 表参道に舞い降りる

ジャーナリストとして使いたくない言葉がいくつかある。その言葉の中に「大御所」と「カリスマ」がある。しかし、今回だけは自分を許しその言葉を使わせてもらうことにする。なぜならばこの言葉が一番わかりやすいからだ。昨年末に僕の携帯に友人から連絡が入った。大御所福田宏之博士。カリスマ楠瀬誠志郎。この音声と発声の二大スペシャリストによるプロジェクトが産まれるという内容だった。驚きよりも遂に産まれたかというのが本心であった。

福田宏之。医学博士、国際医療福祉大学教授、日本音声言語医学、日本咽頭科学の第一人者である。
私はジャーナリストという仕事をする前某レコードメーカーのクラシック部門の統括という仕事をしていた。ベテランの歌手から新人の歌手の録音・リサイタルなど世話役人みたいなものである。そんな方々と仕事をしていていちばん困ったことがベテランとはいえ2時間もすると声が出なくなり、芸術を楽しむどころか最後まで声が持つのかという心配が常であった。そんな時とにかく福田先生のところへという慣例があり、何十人もの歌手を先生のところへ通わせた。日本のオペラ歌手、ポピュラー歌手、役者、声優などいったいどれだけの人が先生の治療で復活をしたことか。その点からも日本の音楽文化を支え続けている功績は大きい。

楠瀬誠志郎。アーティスト、ヴォイストレーナー。はじめて楠瀬に合ったのは芝浦にある某スタジオで行なわれたワークショップであった。彼の第一印象は何と眼の綺麗な男なんだという印象だった。
その日は20人程の強者揃いの歌い手や役者達が楠瀬の噂を聞いて参加していた。ワークがスタートし楠瀬の指示した音を20名がいっせいに割れんばかりの声で発声し始めた。次の瞬間なんと楠瀬は一人ひとりにヒントを与えている。私には正直あまりにもうるさ過ぎて誰がだれの声なのか全くわからない。そして再度先ほどと同じ音いっせいに出した時だった。先ほどとは全く違う柔らかく、力みのない、美しい響きがスタジオを膨張させるかのように鳴り響いた。みんなの顔に笑顔が浮かんだ。40分のワークが終了した。3回目のワークの時楠瀬に「君にカリスマをみたよ」と言った。楠瀬はカリスマということばを嫌がる。僕はカリスマという意味をしらないからと言う。ならば言い換えよう、君は響きの天使だ!

医療とアート
このふたりによるメディカル・サイエンス・アートヴォイスメソッド。
発声に障害のある人からハイエンドのプロユースまでを考え作られているのがいい。
私は体感してみようと思っている。

フリージャーナリスト
折田 大藏
New York在住

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